新たに従業員さんを雇い入れた場合、加入条件を満たした方については、雇用保険に加入させる必要があります。
「勤続年数の長い従業員が退職する時になって初めて雇用保険に加入する手続きを取っていないことが分かった」なんてことになると、基本手当を受けることができなくなってしまうこともあります。
そのようなことにならないように、雇用保険の加入条件等について確認していきましょう。

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雇用保険の加入条件とは

雇用保険の加入条件は、次のすべてを満たした場合には雇用保険に加入しなければなりません。

労働者であること役員さんは原則として雇用保険に加入できません。ただし、取締役でかつ支店長・工場長等の肩書を持ち、労働者として働いているとみなされると、雇用保険に加入できます(兼務役員といいます)。
 31日以上雇うつもりであること期間の定めがない場合も含まれます。また、更新の規定があり、31日未満で雇止めとなることが明示されていない場合も含まれます。
 1週間の所定労働時間が20時間以上であること パートさんでシフトにより変動が予想される場合は、雇用契約書で決めた目安で判断します。週3日~5日となっていて、加入するかどうかが微妙である場合は、いったん加入させておきます。数ヶ月様子をみて、実際の勤務が週20時間未満であれば、脱退させます。
 昼間学生でないこと高校生や大学生など、昼間学校に通っている方は、雇用保険に加入させる必要はありません。定時制高校や夜間大学の学生については、雇用保険に加入させます。
 季節的に雇われるものではないこと海の家やスキー場等で雇用する場合は、以下の要件をどちらも満たす方のみ、雇用保険に加入させます。
・雇用期間が4ヶ月を超える
・1週間の所定労働時間が30時間以上
 派遣労働者として受け入れるものではないこと 派遣労働者については、派遣元で雇用保険に加入します。

なお、今までは65歳以上の方を新しく雇用した場合には雇用保険に加入させなくても良かったのですが、平成29年1月1日より、年齢を問わないこととなりました。
65歳以上の方であっても、加入条件を満たせば雇用保険に加入させます。

雇用保険に加入させるための手続きと必要書類

雇用した月の翌月10日までに、管轄のハローワークに雇用保険資格取得届を提出します。
資格取得届は、ハローワークインターネットサービスより印刷できます。

https://hoken.hellowork.go.jp/assist/600000.do?screenId=600000&action=koyohohiLicenceLink
添付書類は、原則として不要です。
ただし、兼務役員については、実態を証明するための書類を提出します。
書類については、ハローワークに所定の用紙がありますので、事前にハローワークにご相談ください。

手続きを忘れた場合のリスク

手続きを忘れていた、または面倒だったので放置していた、という場合には、損害賠償を請求される恐れがあります。
雇用保険の最大の役割は、失業保険(基本手当)の給付です。
雇用保険に加入していた方が退職した場合には、雇用期間と年齢に応じて、失業保険が支給されます。
加入条件を満たしていたのに雇用保険に加入しておらず、退職した時に失業保険がもらえなかった従業員さんから、もらえるはずだった失業保険を賠償請求される可能性があるのです。
もし、「保険料を控除されたくない」と従業員さん本人が希望したという事情があっても、法律で強制加入となっていますので、後で未加入であったことが発覚すれば、会社に責任が及びます。
雇用保険にさかのぼって加入できるのは2年までとなっています。
(保険料を控除していたのに手続きだけ忘れていたのであれば、特例として2年を超えてさかのぼることが認められています)
手続きは忘れずに行いましょう。