雇用契約書は従業員と会社がそれぞれ印鑑を押印し、それぞれが保管するということをこちらの記事では書きました。
しかし雇用契約書を後で見直してみると会社の押印がなかったり、従業員の押印がなかったりすることがあると思います。
このような場合でも雇用契約は有効に成立するのでしょうか?

雇用契約書が必要な3つの理由

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雇用契約は書面での契約により成立するものではない

雇用契約自体は雇用契約書がなかったとしても有効に成立します。
労働基準法では雇用契約については労働者が使用者指揮命令により労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことにより成立するとされています。
ですから雇用契約書を交わすことにより雇用契約が発生するわけではないのです。

雇用契約書の押印がないことについて

上では雇用契約自体には雇用契約書は必要ないと説明しましたが、それでは雇用契約書には押印がなくても良いと言えるのでしょうか。
「押印がなくても法律違反ではないが、労務管理の観点で言うと良いとは言えない」というのがその答えです。
雇用契約書は労働基準法上は必要ありませんが、従業員と会社の間のトラブルを回避するうえでは重要な書類です。
雇用契約書を交わす際に、読み合わせを行い、お互いに確認してから押印をすることで、従業員も記憶に残ります。
雇用契約書に書かれている内容は、すべて労働契約の中でも特に重要な項目ですから、会社としても従業員によく覚えておいていただきたい内容が書かれています。
入社時には従業員に書いてもらう書類や押印してもらう書類が多いので、労働条件を読み合わせただけでは十分とは言えません。
労働条件の読み合わせを行ったうえで、押印してもらうことで、従業員にも記憶してもらうようにしましょう。

まとめ
雇用契約書に押印がなかったとしても雇用契約自体は有効になります。
しかし従業員との労務トラブルを防止する観点からすると従業員の押印は重要な証拠になりますので、必ず押しもれのないようにしましょう。