パートタイム労働者と雇用契約を結ぶときの注意点

パートタイム労働者は正社員と比べ、労働者としての身分が不安定です。
パートタイム労働法ではパートタイム労働者と会社のトラブルを防止するために、雇用契約時や雇用期間中のルールを厳格に定めています。
ここではパートタイム労働者と会社が雇用契約を締結する際に注意しなければならないことについて説明します。

《参考》
これからパートを雇うなら要注意!法改正で追加された項目はコレ!


[adsense]

スポンサーリンク




雇用契約書に明示する項目が多い

パートタイム労働者の場合には正社員の雇用契約書と比べて、記載しなければならない項目が3つ追加されています。

    パートタイム労働者の雇用契約時に明示しなければならない項目

  1. 昇給の有無
  2. 退職手当の有無
  3. 賞与の有無

パートタイム労働者の場合にはこの3つの項目を追加で明示する必要があります。

ちなみにパートタイム労働者に限らず、雇用契約時に明示しなければならないのは次の項目です。

  1. 雇用契約の期間
  2. 就業の場所、仕事の内容
  3. 始業及び終業の時刻、残業の有無、休憩時間、休日、休暇、就業時転換(交替勤務の場合の交替日、交替順序等)に関する事項
  4. 賃金の決定、計算及び支払いの方法、締切り日、支払い日
  5. 退職に関する事項(解雇の事由を含む)

したがってパートタイム労働者と雇用契約を締結する場合には、これらの項目については必ず明示しなければなりません。
会社によっては正社員もパートタイム労働者も同じ雇用契約書を使用している場合もあるかもしれませんが、その場合にはパートタイム労働者用の雇用契約書を用意したほうが良いでしょう。

パートタイム労働者でも有給休暇を与えなければならない

パートタイム労働者には有給休暇が与えられないと思っている会社も多くありますが、パートタイム労働者であっても条件を満たせば有給休暇は与えなければなりません。
そして雇用契約書の休暇の項目には有給休暇が与えられる旨を記載しなければなりません。

パートタイム労働者の有給休暇の付与条件は

パートタイム労働者であっても正社員と同様の条件で有給休暇を与えるか否かを判断します。

6か月間継続勤務し、決められた労働日数の8割以上出勤すること

これがパートタイム労働者の有給休暇の付与条件です。
条件は正社員と同じですが、付与される日数は出勤日数により異なります。

週所定労働時間が30時間以上の場合

通常の労働者と同じ日数を与えることとなっています。

週所定労働時間が30時間未満の場合

  1. 所定労働日数が週5日以上(週以外の期間によって労働日数を定めている場合は年間217日以上)の場合は、通常の労働者と同じ日数を与えることになっています。
  2. 所定労働日数が週4日以下(週以外の期間によって労働日数を定めている場合は年間216日以下)の場合は、1週間または1年間の所定労働日数に応じて、年次有給休暇を比例付与することになっています。

したがってパートタイム労働者についても入社6か月を経過することで、所定労働日数にしたがって有給休暇を与えなければならないのです。

これを有給休暇の比例付与といいます。
有給休暇の比例付与について詳しく確認したい場合はこちらをご覧ください。
《参考》
アルバイトやパートにも有給休暇は必要!?有給休暇の比例付与と計算

雇用契約書の中で「就業規則による」という文言を入れている

パートタイム労働者との雇用契約書の中に「別紙就業規則による」と記載していませんか?
それが正社員と同様の内容の項目であれば結果的には問題ありませんが、正社員とパートタイム労働者で扱いに差をつけているのであれば気を付けなければなりません。

別紙就業規則によると記載した時点で、その就業規則に書かれている内容がそのまま雇用契約に当てはめられます。
雇用契約書を作成する場合にはどの規定にかかるのかきちんと確認してから「別紙就業規則による」と書くようにしましょう。

まとめ
パートタイム労働者の場合には通常の正社員と比べて明示しなければならない項目が増えています。
またパートタイム労働者は労務上のトラブルが多いため、書面での雇用契約が特に大切になります。
もし不安であれば手続きを見直すことをお勧めします。