労働時間が長い日に有給休暇の取得が集中しない為に会社がとるべき方法

社内ルールを作る時に気を付けなければならないことの一つに、労働者間の不平等をなくすということがあります。
法律を守ることは言うまでもなく大切なことですが、社員の中で不平等感を減らすことも経営者として考えなければならない重要なことです。
できる限り平等になるよう配慮しながら、社内ルールを決めなければなりません。このページで説明するのは、パートタイム労働者の有給休暇取得時の賃金に関することです。
パートタイム労働者側から、他のパートタイム労働者のことで不平が出ることが多い項目ですから、もし対応されていないようであれば、一度考えてみたほうが良いでしょう。

<事例>労働者から不満が上がった、あるパートタイム労働者の有給休暇の取得方法

この不満が上がったパートタイム労働者Aは曜日によって所定労働時間が異なっていました。
ある日は3時間、ある日は7時間、という形です。
そしてこのパートタイム労働者Aは7時間の日ばかり有給休暇を取得していたのです。7時間の日に有給休暇取得するとより多くの時間休むことができ、さらに7時間分の時給が有給手当として支給されるからです。
他のパートタイム労働者は周囲に気を使い、曜日を分散して有給休暇を取得していたのですが、Aは決まって7時間勤務の日に有給休暇を使用していたため、他のパートタイム労働者たちから不満が上がっていたという訳です。

年次有給休暇の取得は労働者の権利なので、法律上は責められない

このパートタイム労働者Aの有給休暇の取得は、法律上問題ありません。
問題なのはこの会社が、有給休暇取得時の賃金を所定労働時間の時間分だけ支給する方法をとっていることによって、所定労働時間の長い日に有給休暇を取得したほうが得な状態を作りだしてしまっていることです。
このルールを見直し、パートタイム労働者同士が気持ちよく有給休暇を取得できる環境を整えることが、会社がとらなければならない対策です。
以下では有給休暇取得時の賃金の支払い方法について説明し、最後に有効策を示します。

有給休暇取得時の3つの賃金支払方法

有給休暇を取得した時の賃金の支払いは次の3つのうち、いずれかを使用することになっています。

  1. 平均賃金
  2. 所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
  3. 健康保険法の標準報酬日額に相当する金額(労使協定必要)

平均賃金

過去3か月分を平均した賃金です。
具体的に説明すると、3か月間に支払った賃金総額をその3か月間の暦日数で割って計算した額が平均賃金です。

所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金

その日に出勤した場合に、実際に支払われる賃金です。
もしも7時間勤務の日に有給休暇を取得したのであれば、7時間分の時給が賃金になります。
上記の事例でとっていたのはこの方法です。

健康保険法の標準報酬日額に相当する金額

社会保険の標準報酬月額を30で割って計算した額を日額とする方法です。
3つの方法にはそれぞれ特徴があります。
以下でメリットとデメリットについてまとめました。

メリット デメリット
平均賃金 所定労働時間の長短にかかわらず賃金が変わらない 賃金の計算に手間がかかる
通常の賃金 計算が簡単 所定労働時間が長い日に取得が集中する
標準報酬相当 社会保険未加入者に対応できない

有給休暇取得時の賃金をケース別に確認する

どの方法を採用しても法律上構いませんが、上記のような特徴があることには注意しなければなりません。
それではケース別にみていきます。

1日の労働時間が毎日同じ場合

例)1日の所定労働時間がいつも5時間

この場合には日によって労働時間が変わりませんので、「所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金」で有給休暇取得時の賃金を計算したほうが、給与計算が楽で良いでしょう。

上記の事例では1日の所定労働時間が日によって異なるのに、「所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金」で支払っていたため、他のパートタイム労働者から不満が生じる結果になっていました。
しかし所定労働時間が毎日同じであればこのような不満は生じませんので、「所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金」で問題ありません。

1日の労働時間が日によって異なる場合

例)1日の所定労働時間が3時間の日があったり、7時間の日があったりする
この場合に「所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金」を使用して有給休暇時の賃金を計算すると、所定労働時間が長い日に有給休暇の取得が集中してしまいます。
有給休暇を取得する日によって、賃金の額が変わらない「平均賃金」を用いるほうがパートタイム労働者間の不平等が生じにくいと言えます。

まとめ
パートタイム労働者の有給休暇取得時の賃金の計算方法について説明しました。
労働者にとって賃金は労働条件の中でも、一番の関心事です。
あらかじめ有給休暇取得時の賃金の支払い方を決めておき、それに従って運用することが不平等感をなくすことにつながります。
気持ちよく有給休暇を取得することができる環境が整えば、労働者同士で休みをカバーする空気が生まれ、モチベーションの向上にもつながります。今まで有給休暇取得時の賃金について注目していなかったのであれば、一度見直してみてはいかがでしょうか?

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