試用期間中には社会保険には加入させなくても良いのか?

A社長
A社長:運転手が1人、自己都合で2ヶ月後に辞めることになったから、ハローワークへ求人を出してくれる?

社労士
社労士:はい。それでは、雇用条件を教えてください。

A社長
A社長:試用期間を設けるつもりなんだけど、その間は社会保険に入らなくてもいいよね?

社労士
社労士:いいえ、いけませんよ。試用期間でも社会保険には入らないといけません。

A社長
A社長:そうなの!?でも、知り合いの社長が、顧問の社労士が2ヶ月の契約書を作れば入らなくてもいいって言ったって。

社労士
社労士:そういう先生もいらっしゃいますが、それでは裁判になると負けます。私はお勧めしません。

A社長
A社長:2ヶ月の契約では社会保険に入らなくてもいいっていうのは、他でも訊いたことがあるけど。

社労士
社労士:確かに、社会保険の適用除外となる人に「2ヶ月以内の期間を定めて雇い入れた人」があります。ですが、これは有期雇用契約といって、初めから2ヶ月で契約が終了する人のことです。一方、試用期間は、本採用拒否が解雇より広く認められるだけであって、あくまでも正社員の雇用と解釈されています。期間経過後も引き続き雇用するのが前提なので、2ヶ月で終わる有期雇用契約と試用期間は全く別のものなんですよ。

A社長
A社長:確か、前にうちが雇った運転手も、2ヶ月の契約だから入らなかったね。

社労士
社労士:そうです。あの人は、お歳暮の時期限定の契約で、本当に2ヶ月で辞めてもらう契約だったからです。

A社長
A社長:なるほどね…でも、最近は試用期間で辞める人が多いから、保険料がもったいないなぁ。

社労士
社労士:それでしたら、試用期間は、1日5.5時間の勤務にしてください。

A社長
A社長:1日の労働時間を短くするの?

社労士
社労士:そうです。社会保険は、正社員のおおむね4分の3以上の勤務になると入らなくてはいけません。逆を言えば、1日の勤務時間か、1ヶ月の労働日数が、正社員の4分の3未満であれば、入らなくてもいいのです。御社の所定労働時間は1日8時間、所定労働日数は1ヶ月21日です。ですから、試用期間は1日5.5時間勤務にするか、1ヶ月15日勤務にすれば、社会保険に入れなくても問題ありません。

A社長
A社長:なるほど!試用期間は勤務を正社員より短くすればいいのか。じゃあ、短い時間で人物を見極めることができるような指導内容を考えておくよ。

社労士
社労士:1日5.5時間にするのであれば、2ヶ月にこだわらなくてもいいですよ。3ヶ月というケースが多いですが、6ヶ月とすることも可能です。

A社長
A社長:そうか、じゃあ3ヶ月にしようかな。いい人が来るといいなぁ。

社会保険の加入条件

社会保険の適用事業所で週30時間以上働く従業員は、社会保険に加入しなければなりません。
しかし次の条件で働く場合については、加入しなくてもよいことになっています。

  1. 日々雇い入れられる人
  2. 2か月以内の期間を定めて使用される人
  3. 所在地が一定しない事業所に使用される人
  4. 季節的業務(4か月以内)に使用される人
  5. 臨時的事業の事業所(6か月以内)に使用される人

これらの状況で働く場合には、社会保険に加入しなくてもよい(することができない)ことになっています。

試用期間中であっても社会保険の加入が必要

3dman_eu / Pixabay


上で見た条件の中に、「2か月以内の期間を定めて雇用するもの」という条件があります。
この条件をもとに、試用期間を2か月間の有期雇用として扱えば社会保険の加入を免れると考える方もいらっしゃいますが、実際には違います。
そもそも試用期間とは、正社員としてふさわしいかを判断するために設定するものです。
長期雇用が前提なのです。

2か月間だけ雇用し、その後退職することが決まっているのであれば社会保険には加入する必要はありませんが、その後も雇用が続く見込みであれば、社会保険に加入しなければなりません。
雇用契約を2か月に区切っても、社会保険に加入しなければならないことに変わりありません。

試用期間中に社会保険に加入しない方法(非推奨)

どうしても試用期間中には社会保険を掛けたくないということであれば、労働時間を短くする方法があります。
労働時間が30時間以上であれば社会保険に加入しなければならないため、試用期間中だけ労働時間を短くする方法もあります。
実際にこのようなアドバイスをする社会保険労務士もいます。
しかしその方法はお勧めできません。

お勧めしない理由は2つあります。

理由1 フルタイムで働くことを望んでいるから

正社員の応募に申し込んだ方は、フルタイムで働くことを望んでいます。
それなのに試用期間中の労働時間を1日5.5時間にすると、希望する給料に達しないため、応募が減ることが考えられます。

理由2 働く前から不信感を持たれるから

試用期間中は社会保険に加入させないと伝えると、「この会社は本当に社会保険をかけてくれるのだろうか」という不信感を持たれることも考えられます。
働き始める前から不信感を持たれては、良い働きが期待できません。

社会保険料の節約よりも大切なこと

何よりも大切なのは、新入社員に早く仕事を覚えてもらい、一人前になってもらうことです。その中でやりがいを見つけてもらい長く働いてもらうこと。
それが一番ではないでしょうか?

社会保険料が高いという気持ちはわかります。
しかし試用期間を乗り越えて、戦力になる社員の育成に気を配るほうが、無理な社会保険料の節約を考えるよりも有意義です。
試用期間中にも社会保険に加入しなければならないことを理解していただき、社員の育成に力を注いでいただければと思います。

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