試用期間中は社会保険に加入させなければならないのか?

有給休暇

経営者から多く質問されるものの一つに試用期間中の社会保険の取り扱いに関するものがあります。
具体的にいうと試用期間中の従業員についても社会保険に加入させなければならないのかという質問です。
社会保険料は会社にとっても、従業員にとっても負担額が大きいため、加入するかどうかは大きな関心事です。


このページでは試用期間に焦点を絞って社会保険の加入について説明していきます。
もしも貴社で対応が間違えているのであれば、社会保険の調査で指摘をされる可能性がありますので、今後の取り扱いを修正する必要があります。

試用期間中であれば社会保険には加入させなくても良いのか?

試用期間中の社会保険の対応について悩んでいる経営者の方は数多くいらっしゃいます。
試用期間中の従業員は仕事にも慣れていなく、まだまだ戦力としては一人前ではない時期かもしれません。
また入社したての従業員にとっても、この会社で働いていけるか、この会社が自分にあった会社なのか不安な時期でもあります。

このような状況を考えると、試用期間中については社会保険にかける必要がないと考えるのもわからない話ではありません。
現に試用期間中には社会保険を掛けていない会社もあるようです。
しかし法律上は試用期間中であっても他の社会保険をかける条件を満たしている場合には、社会保険をかけなければならないことになっています。

社会保険をかけなければならない条件とは?

よく「正社員であれば社会保険に加入しなければならない」とか「アルバイトだから社会保険には加入しなくてもいい」などと言われたりしますが、実際にはもっと細かい条件により決められています。
労働時間や労働日数が一定以上である場合には、社会保険に加入しなければならないのです。
したがってアルバイトやパートタイマー等の呼び名に関係なく、条件を満たしている場合には社会保険に加入しなければなりません。
次からは社会保険の加入条件について説明します。

社会保険の加入条件

最初に社会保険の加入条件について見ていきます。
この条件は試用期間中であろうとなかろうと、違いはありません。

  • 労働時間や労働日数が一般の従業員と比べて4分の3以上であること
  • 雇用期間が2か月を超えること

これが社会保険の加入条件です。
労働時間について図で説明します。

社会保険に加入する条件

この図では正社員が週40時間働く場合を例としています。
パートタイマー1については所定労働時間が週32時間ですから、正社員の所定労働時間の4分の3以上となり、社会保険に加入しなければなりません。
一方パートタイマー2については所定労働時間が週25時間ですから、正社員の所定労働時間の4分の3未満となり、社会保険には加入する必要がなくなります。

このように雇用期間が2か月を超える場合には、労働時間が4分の3以上であるかどうかにより、社会保険に加入しなければならないか判断します。

試用期間が2か月なら社会保険に加入しなくても良いのか?

前項では社会保険の加入条件について説明をしました。
そこでこう考える方がいます。

試用期間が2か月なら社会保険に加入しなくても良いのか?

試用期間を2か月に設定し、働きぶりが良ければ試用期間経過後に雇用契約を結び、そこから社会保険に加入すれば最初の2か月間については社会保険に加入しなくても良いのではないか?そう考える方もいらっしゃるでしょう。
しかしその場合でも、入社時から社会保険に加入することになります。

理由は試用期間とは本採用を前提に設けられている期間だからです。
もともと2か月を経過した後に正社員として雇用することを前提にしているのであれば、2か月間の雇用期間と見ることができないため、最初から社会保険に加入することになります。


そうしなければどの会社も2か月の試用期間を設けることになり、入社時から社会保険に加入しなければならないというルールが形骸化することを考えても当然のこととも言えます。

試用期間中に社会保険をかけない場合とは

上で説明したように、試用期間中であっても加入条件を満たした場合には社会保険に加入しなければなりません。
試用期間中だからと言って、特別の措置があるわけではないのです。
ですから

  • 労働時間や労働日数が一般の従業員と比べて4分の3以上であること
  • 雇用期間が2か月を超えること

繰り返しになりますが、この2つの条件を満たしている限りは、試用期間中でも社会保険に加入しなければなりません。

しかしそれでも会社としては試用期間中には社会保険を加入させることを避けたいということであれば、労働時間を正社員と比べて4分の3未満にするという方法が考えられます。
4分の3以上の労働時間であれば社会保険に加入しなければならないのですから、逆に4分の3未満の労働時間で試用期間中については働いてもらうのです。
こうすることで社会保険の加入条件を満たしませんので、社会保険をかける必要がなくなります。(社会保険に加入することができません)

ただし十分に注意してください

しかしこの方法は最初からフルタイムで働くと考えていた従業員にとっては大変不利益なものになります。
試用期間中の労働時間が短いのであれば、面接の時点で十分に説明する必要がありますし、説明の結果に納得が得られなけれないまま採用してしまうと、会社に対する不信感につながります。
従業員への不利益が大きいことを十分に考えて実施してください。
そして試用期間がどのような期間であるのか会社として十分に考え、その主旨を損なうようなことがあれば社会保険の加入を免れたとしても決して良い結果にはならないでしょう。

まとめ
社会保険のことだけ考えた結果、優秀な従業員を失うのであれば本末転倒です。
試用期間中の社会保険料の対策を考えるくらいであれば、入社してくれた従業員のモチベーションをあげ、どんどん成果を上げられる環境づくりの方法を考えたほうが、より建設的ではないでしょうか?

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jinjiroumu

札幌で社会保険労務士をしています。
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