有期雇用契約とは、「いつからいつまで雇用する」とあらかじめ期間を決めて雇用する労働契約です。
最初に決めた雇用期間に納得して雇用契約するため、労働者側も会社側も雇用期間の中途に契約を解除することは原則としてできません。
このページでは例外として雇用契約期間の途中に契約を解除できるケースについて説明します。

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有期雇用契約の中途で雇用契約を解除する3つのケース

先に説明したように有期雇用契約は最初に労使双方が雇用期間に納得して契約し、成立する雇用契約ですから中途で解除することは労働者側からも使用者側(会社)からも認められません。
このことは労働契約法第17条でも示されています。

労働契約法第17条(契約期間中の解雇等)
使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。

しかし当初納得して雇用契約を締結したとしても、有期労働契約の中途で解除しなければならない事態も起こり得ます。
そのような場合にまで、有期雇用契約の継続を求めるのは会社側にとって酷な場合も考えらえます。
その点について民法では「やむを得ない事由があるとき」は解除することができるとしています。

民法第628条(やむを得ない事由による雇用の解除)
当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。

有期雇用契約の中途解除が認められる「やむを得ない事由」とは

要注意!?有期雇用契約を締結した労働者を解雇することはできるのか?
この「やむを得ない事由」というのは有期労働契約の終了を待つことができないほどの特別な事由とされています。
期間の定めのない雇用契約を解除(解雇)するような場合には、客観的に合理的で社会通念上相当と認められる事由が必要であると言われていますが、有期雇用契約の場合には期間の定めのない雇用契約よりもさらに解雇の理由が厳格な理由が求められます。
したがって会社側にとっては有期雇用契約の中途での解除(解雇)は非常に難しいといえます。

労働者側が有期雇用契約の中途での退職を申し出た場合

労働者側についても民法第628条は有効になるため、有期労働契約の中途での退職は認められません。
したがって「やむを得ない事由」がない限りは認められないこととなります。
ただし、契約期間が1年を超える有期雇用契約を締結している場合で、1年を超えて働いている労働者については、労働者の申出により有期雇用契約の中途に退職することができます。
これは労働者の身分を不当に拘束することにならないように労働基準法で定められているものです。(労働基準法第137条)

まとめ
有期雇用契約の場合であっても契約期間中に解雇をしてしまうケースを稀に目にします。
有期雇用契約の場合については、やむを得ない事由がない場合には解雇を行うことは原則としてできません。
判例を見ても会社が行った解雇がやむを得ない事由があるものと認められないケースの方が多いのです。

参考

有期労働契約の期間途中の退職は認めなくてはならないのか(沖縄労働局)