あなたの会社がこれからマイナンバー制度の導入を進めるのであれば最初に決めるべきことがあります。
それはマイナンバー制度の担当者を決めることです。
マイナンバー制を導入するためには取扱のルールを決めなければなりませんし、決めたルールを明文化し、徹底する必要があります。
その先頭に立って準備することも担当者の大事な役割です。ここではマイナンバー制度の担当者の役割について説明します。
マイナンバーの利用範囲を明確にする
マイナンバー制度は平成28年1月から開始します。
ですから平成28年1月以降に手続きを取るマイナンバーの対象業務については、マイナンバーを記載してて手続きをしなければなりません。
マイナンバーに関連のある業務を担当する方をマイナンバーの担当者にする方が、業務の流れがわかりますし理解も早いでしょう。
マイナンバーを記載して手続きを取らなければならないものは次の通りです。
まずはこれらの業務を現在誰が担当しているか明確にします。
そのうえで直接担当している方をマイナンバーの担当者とするのが良いでしょう。
担当者は複数名でも良いのか?
担当者は複数名でも構いません。
その業務に従事する方を担当者に決めるということでも良いでしょう。
ただし、もし担当者が複数名いる場合にはそのうちの一人を責任者とし、担当者と区別するのが良いでしょう。
≪参考≫
マイナンバーガイドライン入門―特定個人情報保護委員会事務局
社長を担当者にしても良いのか?
担当者は会社内の役職等は問いません。
したがって社長をマイナンバーの担当者にするということでも、問題はありません。
社長自らがマイナンバー制度の担当者になることで、個人情報に対する責任感が社長自らに働くため、率先してマイナンバーの制度導入に取り組むことができるとも言えます。
マイナンバーの担当者は個人ではなく、係でも良いのか?
マイナンバーの担当者は個人である必要はなく、係による担当も可能です。
「〇〇課△△係」や「××事務担当者」でも構いません。
≪参考≫
マイナンバー社会保障・税番号制度ー内閣官房
Q4-4-5 「事務取扱担当者の明確化」は、役割や所属等による明確化のように個人名による明確化でなくてもよいですか。
マイナンバーの基本方針や取扱規定を作成する
マイナンバー制度を導入するためにはいくつかの文書を作成したり、変更したりする必要があります。
マイナンバーの基本方針や取扱規定をあらかじめ作成し、業務の担当者が変わっても間違えなく引き継がれる体制を作る必要があるためです。
法的には作成義務があるのは取扱規定(労働者が100人を超える事業所の場合)だけですが、基本方針についても作成したほうが良いでしょう。
100人以下の事業所については基本方針も取扱規定も義務ではありませんが、担当者が変わった場合に取扱が変わらないようにしなければならないため、作成したほうが良いと言えます。
なおすでに個人情報保護規定がある場合には、それに追記することで取扱規定とすることも認められています。
専門家との打ち合わせ
マイナンバーに関連する業務を税理士や社会保険労務士に委託しているという場合には、それらの専門家との打ち合わせを行う必要も生じます。
これも担当者の大事な仕事です。
担当者は大切なマイナンバーを専門家に委託するわけですから、委託先の管理についても正確に行う必要があります。
マイナンバーを外部の専門家に委託する場合の例
例えば新しく従業員を採用したとします。
従業員を採用し、その従業員が雇用保険の被保険者になる場合には雇用保険被保険者資格取得申請書を提出する必要があります。
その場合には社会保険労務士に依頼することになりますが、今まで資格取得の手続きに必要だった書類の他にマイナンバーを通知してあげる必要が新たに生じることになります。
担当者は社会保険労務士に安全な方法でマイナンバーを社会保険労務士に教え、手続きを進めてもらうことになります。
マイナンバーの担当者はこのような自社と専門家をつなぐ役割も担う必要があります。