休憩を意図的に与えない会社はありません。
しかし与えている休憩が、労働基準法でいう休憩の基準を満たしていない会社がしばしば見受けられます。
休憩の取扱いを間違えてしまうと、労働時間とみなされてしまうため、会社にとって思いがけない支払いが生じる可能性があります。
これをお読みのあなたには、自社の休憩の取扱いを振り返っていただき、もし違反があれば、ルール見直しのきっかけにしていただければと思います。
休憩の3原則とは
名目が休憩でも、実態が労働時間であれば休憩とは言えません。そこで労働基準法では、休憩について3つの原則が定められています。
- 「途中付与の原則」休憩は労働時間の途中に与えなければならない
- 「一斉付与の原則」休憩は一斉に与えなければならない
- 「自由利用の原則」休憩は自由に利用できるものでなければならない
繰り返しになりますが、この3つの原則を満たしていない休憩は、休憩とは言えないため、労働時間とみなされます。
それではこの3つの原則について以下で確認をしていきましょう。
休憩は労働時間の途中で与えなければならない
休憩は労働時間の長さに応じて、与えなければならない時間が決まっています。
- 6時間以下・・・・不要
- 6時間を超え8時間以下・・・45分
- 8時間を超える・・・・60分
この時間を超える休憩時間を与える必要があります。
5時間労働の従業員であれば休憩は不要ですが、7時間労働の従業員であれば少なくとも45分の休憩時間を設ける必要があります。
上記の表を超える休憩時間を設定しても問題ありません。
立ち仕事であったり、体力を使う業務の場合には、上記の休憩時間では少ないかもしれません。
業務内容に応じて、休憩を長く設定することも可能です。
この休憩を労働時間の途中に与えること。これが休憩の1つ目の原則です。
途中に与えることが原則ですから、出勤後すぐに休憩を与えることや帰り際に休憩を与えることは認められていません。
パートさんの中には、休憩はいらないから早く帰りたいという方もいらっしゃいます。もしこのパートさんの労働時間が6時間以下であれば、休憩なしで早く帰ってもらってもかまいませんが、6時間を超える労働時間であれば、少なくとも45分は、労働時間の途中に取ってもらう必要があります。そのパートさんには、その事情を説明して、労働時間の間に休憩をとってもらうようにお話ししましょう。
休憩は一斉に与えなければならない
休憩は、全労働者に一斉に与えなければなりません。しかしこの原則は現在緩和されており、次の例外が認められる場合には、一斉に与えなくても良いということになっています。
業種による例外
次の業種については休憩の一斉付与の適用が除外されています。
- 運輸交通業
- 商業
- 金融・広告業
- 映画・演劇業
- 通信業
- 保健衛生業
- 接客娯楽業
- 官公署の事業
労使協定による例外
労働者との間で労使協定を結ぶことで、休憩を一斉に与えなくても良くなります。
休憩は自由に利用できなければならない
休憩は労働から離れることが保証されている時間です。ですからこの時間は自由に利用できるものである必要があります。
例えば「休憩中の人がかかってきた電話をとる」というルールがあり、実際に昼食をとりながら電話対応をしているような場合では、休憩の原則から外れていると言えます。
電話の対応が必要なのであれば、労働時間中の従業員が対応するようにしましょう。
まとめ
今回は休憩の3原則について説明をしました。
この3つの原則が守られていない休憩は、労働基準法に違反しているとみなされるだけではなく、給与の未払いの問題にもつながってしまいます。
もしもあなたの会社で一つでも当てはまるものがあるのであれば、早期に対策を取り、ルールを見直しましょう。