労働保険料の計算や社会保険料の支払いが難しくてわからないという話をよく聞きます。
社会保険労務士に業務を委託しているのであれば、計算からすべて代行してくれますが、委託していないのであれば、計算から支払いまで自分でしなければなりません。
慣れれば決して難しいものではありませんが、独特な考え方があるため最初は悩むこともあるでしょう。
ここでは労働保険料の支払い時期や計算方法について説明をします。
労働保険料の仕組み
労働保険料は、年に一度の前払いとなっています。
4月1日から翌年3月31日までに支払うであろう給料の総額(賃金総額)を見積もりし、その分の労働保険料を納付します。
この先払いしている保険料を、概算保険料といいます。
翌年4月1日になり、3月31日までの賃金総額が確定したら、その額についての労働保険料を計算します。
これを確定保険料といいます。
労働保険料の計算例
なお、Cの計算の基礎となっている賃金総額は、前年より50パーセント以上少なくなるか、200パーセント超となるような事情がなければ、Bの賃金総額と同額で良いことになっています。
(人員を大幅に変更するとか、高額の給料をもらっていた方々が辞めるなどの事情が考えられます)
労働保険料の計算方法
概算保険料および確定保険料の額は、次の計算式で表すことができます。
労働保険料は全額会社負担ですが、雇用保険料は会社と従業員とで負担します。
雇用保険料のうち従業員負担分については、会社が立て替えて払ったことになります。
ですから、毎月、給料から雇用保険料を控除しているのです。
賃金総額に含まれる賃金
賃金総額に含まれるのは、労働の対価として支払っている賃金です。
実費弁償分や退職金など、労働の対価でない給付については、賃金総額から除きます。
おもなものは次のとおりです。
労働保険料の対象
労働保険料を計算する場合と、雇用保険料を計算する場合で、賃金総額には違いが生じます。
それは、対象者が両者で異なるからです。
気をつけなくてはいけないのは、65歳以上の高年齢者です。
高年齢被保険者として、平成29年1月1日から雇用保険に加入することになりました。
しかし、雇用保険料を負担するのは平成32年度からとされています。
したがって、平成31年度までは、高年齢被保険者の給料は、賃金総額から除きます。
そのまま計算してしまうと、余分に雇用保険料を支払うことになってしまいますので、ご注意ください。