有給休暇は一定の条件を満たした労働者に与えられる、有給で休むことができる休暇です。
ですから月給者であっても、時間給で働く労働者であっても、有給休暇を使用して休んだ場合には会社は欠勤として給与を控除することはできません。
この有給休暇は労働者にとって非常に有益であるため、すべての労働者に当然に認められるものではありません。
一定の条件を満たした場合にのみ労働者に与えられる権利です。
このページでは有給休暇が付与される条件と日数について解説します。
有給休暇の付与日数は雇入れ後の経過年数によって決まる
有給休暇は会社の雇入れ後6か月を経過すると最初の付与が行われます。
その後1年を経過するたび有給休暇が付与されるため、「年次有給休暇」とも言われます。
表にすると次のようになります。
勤務年数 | 6ヶ月~ | 1年6ヶ月~ | 2年6ヶ月~ | 3年6ヶ月~ | 4年6ヶ月~ | 5年6ヶ月~ | 6年6ヶ月~ |
---|---|---|---|---|---|---|---|
付与日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
まず、雇い入れて半年は有給休暇はありません。(会社の温情で与えることはできます)
6ヶ月間で、全労働日のうち8割以上出勤したら、10日が付与されます。
あと1年ごとに11日、12日、14日、16日、18日、20日と増えていき、6年6ヶ月以降は20日のままとなります。
有給休暇の消滅時効は2年
有給休暇の日数を考えるうえでもう一つ大切な考え方があります。
それは消滅時効という考え方です。
有給休暇は一度発生すると2年間は使用が可能です。
それはどういうことかというと入社後6か月に発生した有給休暇は入社後2年半の前日まで使用できるということです。
分かりにくいと思いますので、図で説明します。
この例では平成28年10月1日から平成29年9月30日までの間については、最大21日間使用できることになります。
細かく分けてみると
- 平成27年10月1日発生分は10日(消滅時効は2年なので、平成29年9月30日まで有効)
- 平成28年10月1日発生分は11日(消滅時効は2年なので、平成30年9月30日まで有効)
となるのです。
次に計算方法について説明します。
出勤率が8割に満たない場合には有給休暇は与えられませんが、この「8割以上」の計算方法について細かく解説します。
有給休暇の算定期間の計算方法
有給休暇は雇い入れ後最初は6ヶ月、あとは1年ごとに出勤率を計算します。これを「算定期間」と呼びます。
算定期間中の出勤率が8割以上であれば付与されます。出勤率は以下の式で求めることができます。
出勤率=出勤日/全労働日
ここで、「出勤日」「全労働日」に注意が必要です。
出勤日とは
出勤日は、算定期間の全労働日のうち出勤した日数です。
遅刻・早退した日も含めます。
そこへ、本当は出勤したのに出勤日に含めない日があります。
(1)休日出勤した日
休日は労働が免除されている日なので、全労働日にも含めません。
また、本当は休んでいるのに、出勤したものとして扱う日があります。
(2)労災による怪我で休業していた期間
(3)産前産後休業の期間
(4)育児休業の期間
(5)有休取得日
これらの日数は、出勤日に含めます。全労働日にも含めてください。
さらに、以下は原則、出勤日には含まれませんが、就業規則等で出勤日数に加えたり、出勤日数に加えず全労働日からもはずすと定めることができます。
(6)通勤中の事故で休業した日
(7)慶弔休暇などの特別休暇を取得した日
(8)子の看護休暇を取得した日
(9)生理休暇
全労働日とは
全労働日とは、算定期間の全日数から、会社所定の休日を引いた日数です。
全労働日には、以下の日は含めません。
(1)休日労働した日
(2)使用者の責任で休業した日
(3)ストライキで休業した日
(4)代休を取得した日
(5)公民権行使による休日
(6)代替休暇を取得した日
(7)天災等の不可抗力により休業した日
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出勤率が8割未満になってしまった場合
Aさんが、入社後2年1ヶ月目から4ヶ月間病気で休職したため、出勤率が8割に達しなかった場合、どうすればいいでしょう?
まず、2年6ヶ月目から3年6ヶ月目までの1年間は、Aさんには有給休暇が付与されません。残っている有給休暇がなければ、1年間は休んだら欠勤扱いになります。
Aさんが1年間で8割以上出勤したら、3年6ヶ月目からは有給休暇が復活します。
そして、その付与日数は、14日です。12日ではありません。
あくまでも勤務年数で判断するので、間違えないようにしてください。