「パートでも忌引きはあげなきゃダメなの?」
そう質問されることがあります。
身内の不幸は誰にでも起こりうることですし、その時がいつ訪れるかわかりません。
このページでは
- 忌引き休暇は、要求があれば与えなければならないのか?
- それはパートであっても正社員と同じように与えなければならないのか?
について説明をしていきます。
忌引きは労働法で認められている権利ではない
忌引きは労働法で認められた権利ではありません。
したがって、会社は従業員から身内の不幸のために休みを要求されたとしても、休暇を与える必要はありません。
もちろん忌引きによる休暇を与える必要がないからといって、与えてはいけないということではありません。
忌引き休暇を設定することも可能ですし、その休暇を有給休暇にすることも、無給での休暇にすることも可能です。
この点は会社が福利厚生として、忌引きをどう考えるかにより決めることになります。
就業規則に忌引き休暇のルールを載せた場合には休暇を与えなければならない
ここまで、労働法には忌引きのルールがないので、忌引き休暇を与える必要がないというお話をしてきました。
しかし、就業規則で忌引き休暇を与えると載せている場合には話は別です。
就業規則で「うちの会社には忌引き休暇がありますよ」と言っている場合には、そのルールに従って忌引き休暇を与える必要があります。
これは正社員であってもパートタイム労働者であっても同じです。
就業規則に忌引きのルールを載せていたかわからない場合には、一度見直してみてください。
「平成 23 年パートタイム労働者総合実態調査(事業所調査)」では慶弔休暇の実施状況について次のように公表しています。
正社員に実施している 82.7%
パートに実施している 42.2%
正社員、パートのどちらにも実施していない 6.5%
パートタイム労働者への忌引き休暇
忌引き休暇は労働法で定められているものではありませんので、会社が自由にルールを決めることができると説明をしました。
ですから正社員とパートタイム労働者で取り扱いを変えることも可能ですが、身内の不幸は正社員かパートタイム労働者かにかかわらず生じる出来事です。
就業規則に忌引き休暇を設けなかったとしても、休まなければならないことに、変わりはないでしょう。
それであれば、パートタイム労働者にも忌引き休暇を与えてあげたほうが、よろしいのではないでしょうか。
会社は就業規則をおろそかにしてはいけない
「社員の義理のお母さんが亡くなったんだけど、何日休ませてあげなきゃならないの?」
ここまで説明をしてきたので、あなたは答えがわかるでしょう。
そうです。就業規則の忌引きの規定を確認する、が答えです。
忌引きは労働法にはルールがありませんので、就業規則を確認する。
その就業規則に、忌引きのルールが何も載っていないのであれば、忌引き休暇はないということになります。
このお話はこれまで見てきたことの復習です。
会社が気を付けなければならないこと
就業規則に意図して忌引きのルールを載せたのであれば、ルールに従って忌引き休暇を与えることについて問題ないでしょう。
しかし
- 就業規則のひな型を使用して社名だけ変えて使用している。
- インターネットでダウンロードをしてそのまま使っている。
- 親会社や知り合いの会社で使っていたものをそのまま使っている。
このようなケースでは、意図せず忌引き休暇が載ってしまっているということも考えられます。
就業規則に載っているルールは会社で適用されているルールであるとみなされます。
どこかで使用している就業規則を手直しして、自社で使うことは悪いことではありませんが、その場合には自社のルールに合わせて削除・修正をしてから使用しましょう。
誰が亡くなったときに、何日休みを与えるのかを事前に検討したうえで、就業規則に載せましょう。
まとめ
現在は正社員とパートタイム労働者の取扱いを変えてもかまいませんが、将来は変わってくる可能性があります。
同一労働同一賃金ガイドライン案では「有期雇用労働者又はパートタイム労働者にも、無期雇用フルタイム労働者と同一の付与をしなければならない。」と書かれています。
今後の動向に注意しましょう。
同一労働同一賃金特集ページ-厚生労働省