時間外労働は、残業手当さえ支給すれば、行っても良いものと思っていませんか?
労働基準法では、法定労働時間は1日8時間、1週間40時間(常時10人未満の特定の事業については44時間)と定められており、この時間を超えて労働させてはならないことになっています。
ですから、この時間を超えて働いてもらうためには、労働者との間で「時間外労働・休日労働に関する協定(36協定)」を締結する必要があります。
このページでは、36協定の締結の仕方について説明します。
36協定は労働者の過半数代表者と締結する
36協定を締結する際に、事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がない場合は、労働者の過半数を代表する者(過半数代表者)を選出し、労働者側の締結当事者とする必要があります。
この過半数代表者の選出が適正に行われていなければ、たとえ36協定を締結して労働基準監督署に届け出ていたとしても無効になってしまうため、注意が必要です。
以下では、過半数代表者について注意しなければならないポイントを説明します。
管理監督者は過半数代表者になることができない
管理監督者とは、一般的には部長・工場長など、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある人を指します。このような方は、労働者であったとしても過半数代表者になることができません。
したがって、過半数代表者の選出に当たっては、管理監督者に該当する可能性のある方は避けた方がよいでしょう。
過半数代表者は投票や挙手等の民主的な手続きにより選出しなければならない
過半数代表者の選出手続きは、投票、挙手の他に、労働者の話し合いや持ち回り決議などでも構いませんが、労働者の過半数がその人の選任を支持していることが明確になる民主的な手続きがとられていることが必要です。また、選出に当たっては、パートやアルバイトなどを含めたすべての労働者が手続きに参加できるようにしましょう。
過半数代表者の選出が適切ではない例
次のような場合には、過半数代表者の選出が適切でないため、36協定が無効になります。
- 会社の代表者が特定の労働者を指名するなど、使用者の意向によって過半数代表者が選出された場合
- 社員親睦会の幹事などを自動的に過半数代表者にした場合
→民主的な方法により選出されていないので、36協定は無効です
→その方は36協定を締結するために選出されたわけではありませんので、36協定は無効です。この場合には、改めて36協定の締結当事者となることの信任を得ることが必要です。
労働基準監督署の調査があれば、36協定の有無は必ず確認されます。
36協定の提出の漏れをなくすだけではなく、適切に協定を締結することにも心がけましょう。