試用期間は必ず設けなければならないものではありません。
まして労働基準法でも定義やルールもありません。
しかし、多くの会社では従業員の働きぶりを確認するために試用期間を設定した雇用契約を結んでいます。
もし試用期間を設ける場合には、雇用契約書に試用期間について明記する必要があります。
このページでは試用期間のルールと雇用契約書への記載について説明します。

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試用期間とは


試用期間は入社前の書類審査や面接だけでは判断できない職場適合力や協調性を確認するために設けるものです。
ですから試用期間として不当に長い期間を設定したり、理由なく試用期間の延長をすることはトラブルの原因になるため避けなければなりません。
この試用期間中はいつでも解雇できると考えているかもしれませんが、それは誤りです。
試用期間中であっても労働契約の解除は解雇と同じですから、解雇には正当な理由が必要です。
とはいえ裁判所の判例でも試用期間中の解雇は本採用後の解雇よりも広い裁量権を認められている傾向にはあります。

試用期間中に判断される事項は次のようなものがあります。

  1. 勤務成績
  2. 勤務態度
  3. 健康状態
  4. 出勤率
  5. 協調性
  6. 書類不備

これらの項目に着目し、本採用を行うか試用期間終了後に採用を拒否するか決めます。

本採用の拒否をする場合の注意点

試用期間に上記のようなポイントを観察した結果、採用を拒否する場合があります。
前述したように本採用を拒否することは解雇と同じです。
ですから本採用拒否をする正当な理由が必要ですし、その新規採用者に能力不足があれば注意や指導をし、戦力化に向けた努力をしなければなりません。
本採用拒否が解雇と同じである以上、雇用契約書にも試用期間終了後に本採用を拒否する場合の判断基準を載せておくべきでしょう。

試用期間終了後に本採用を拒否する場合の判断基準の例

  1. 出勤率不良として、出勤率が90%に満たない場合や3回以上無断欠勤した場合
  2. 勤務態度や接客態度が悪く、上司から注意を受けても改善されなかった場合
  3. 協調性を欠く言動から、従業員としての不適格性がうかがえる場合
  4. 経歴詐称

試用期間の期間はどれくらいが適当か?

試用期間の長さについては労働基準法では定められていませんが、期間が長すぎることは労働者の身分を不安定にさせるため好ましくありません。
会社が新規採用者の能力を見極める上で必要な期間を設定し、雇用契約書に記載しましょう。
なお試用期間は3か月から長くても6か月程度が一般的であると言えます。

就業規則に試用期間の取り扱いを載せる場合

試用期間を在職期間としてどう取り扱うかは、会社のルールである就業規則に載せたほうが良いでしょう。
例えば退職金の計算に勤続年数が反映されるのであれば、試用期間は勤続年数に含めるかどうか載せておくべきであると言えます。
細かいことではありますが、トラブルを防止するうえでは大切なことです。

就業規則に載せる項目の例

  1. 試用期間中における解雇の取り扱い
  2. 本採用時における手続き
  3. 試用期間の扱い(勤務年数通産の有無)

他にも試用期間を設けることで必要になるルールがあれば必ず就業規則に載せておきましょう。
就業規則は雇用契約書と並ぶ、労務トラブルを防止するための大切なルールです。

試用期間内における解雇

試用期間中の解雇は採用後14日を超えるか超えないかで扱いが変わります。

  • 14日以内の場合・・・解雇予告不要
  • 14日を超える場合・・解雇予告が必要

つまり採用後14日を超えて解雇することにした場合には試用期間中であっても30日前の解雇予告か30日分の解雇予告手当を支払わなければなりません。

まとめ
試用期間を設ける場合には雇用契約書に試用期間や本採用の判断基準を載せ、就業規則にも試用期間の考え方を載せておきましょう。試用期間といえども採用後14日を超えて本採用を拒否する場合には解雇と同じ扱いになりますので、30日前の解雇予告や30日分の解雇予告手当が必要です。

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