もし算定基礎届の記載を誤ると、従業員の標準報酬月額の決定に影響が生じますので、正確な手続きが求められます。
このページでは算定基礎届の制度や手続きの方法について説明します。
2019年の提出期限は7月10日です!
算定基礎届(定時決定)とは
算定基礎届について説明する前に、社会保険料の仕組みについて、説明します。
社会保険料計算の仕組み
社会保険料は、雇用保険料のように毎月の給料に合わせて変動するものではありません。各人毎に設定された標準報酬月額に保険料率をかけて計算した額を、毎月の給料から控除していくことになります。
この標準報酬月額はいつでも設定しなおせるものではなく、決められた届出によってのみ設定・改定することができます。
標準報酬月額の設定のタイミングは次の4つです
- 取得時決定
- 定時改定
- 随時改定
- 産前産後休業終了時改定・育児休業等終了時改定
社会保険の資格取得手続き時に設定するものです。
被保険者資格取得届を提出することにより、行われます。
算定基礎届の提出により、行われます。
9月1日から新しい標準報酬月額が適用されます。
月額変更届の提出により、行われます。
昇給・降給があった月から3か月間に受けた報酬の平均額を標準報酬月額表に当てはめたとき、これまでの標準報酬月額との間に1等級以上の差が生じたときに改定されます。
産前産後休業終了時報酬月額変更届・育児休業等終了時報酬月額変更届を提出することにより、行われます。
産前産後休業終了時や育児休業終了時から3か月間に受けた報酬の平均額を標準報酬月額表に当てはめたとき、これまでの標準報酬月額との間に1等級以上の差が生じたときに改定されます。
標準報酬月額は、これらの4つのタイミングでしか変更されません。
残業時間の増減や2等級以内の昇給の場合には随時改定に該当しませんので、算定基礎届により標準報酬月額を実態に合わせることになります。
算定基礎届の対象者になる方とならない方
7月1日において社会保険に加入している方全員が対象です。
しかし、6月1日以降に社会保険の資格取得をした場合には、算定基礎届の提出は必要ありません。
次に該当する方は、定時決定の対象外ではありますが、算定基礎届には記入する必要があります。
- 7・8月中に資格喪失予定の方
- 8・9月に随時改定・産前産後休業終了時改定・育児休業等終了時改定を予定している方
これらの方については、定時決定の対象にはなりませんが、算定基礎届には記入する必要があります。
算定基礎届の提出期限と提出先
算定基礎届は7月1日~7月10日に年金事務所に提出します。
毎年6月中旬に年金事務所から事業所に郵送されます。
算定基礎届に添付する書類
算定基礎届は算定基礎届総括表と一緒に提出します。賃金台帳や出勤簿は提出を求められた場合には提出が必要ですが、そうでない場合には必要ありません。
算定基礎届の書き方
算定基礎届への記入を誤ると、従業員の社会保険料が誤ったものになってしまいますので、書き方には十分注意する必要があります。
算定基礎届の記入方法
引用元: 日本年金機構HPより引用
※算定基礎届の様式は日本年金機構HPよりダウンロードができます。
算定基礎届総括表の記入方法
引用元: 日本年金機構HPより引用
※算定基礎届総括表の様式は日本年金機構HPよりダウンロードができます。
標準報酬月額の決まり方
標準報酬月額はどのように決まるのか?
算定基礎届を提出後、年金事務所での審査を経て、事業主に標準報酬月額決定通知が届きます。この決定通知には定時決定を受けた方の標準報酬月額が記載されております。記載された標準報酬月額に該当する保険料を9月分の社会保険料から控除していくことになります。
算定基礎届提出~9月までに行うこと
算定基礎届に記載している方の中には、月額変更が必要な方もいます。その場合には月額変更届が必要ですので、忘れずに届出をしてください。
7月月変の場合
7月月変の場合には、月額変更届が必要です。算定基礎届に「7月月変」と記載して届出をしているので、月額変更の届出が必要ないと勘違いされることがあります。実際には「7月月変」と記載していても、別に月額変更届が必要ですので、忘れずに手続きをしてください。
9月月変の場合
定時決定により標準報酬月額が変わるのが9月からなので、9月月変が必要ないと勘違いされることがあります。6月に固定給の変動等があり、1等級以上標準報酬月額が変わるのであれば、月額変更届が必要ですので、忘れずに手続きをしてください。