毎月の給料から控除する社会保険料は、標準報酬月額により決まります。
等級ごとに設定された健康保険料(40歳から65歳の方については介護保険料)と厚生年金保険料を給料から控除することになります。

この標準報酬月額はいつでも変更できるものではなく、次の4つのタイミングに限られます。

  • 取得時決定
  • 定時決定
  • 随時改定
  • 産前産後休業終了時改定・育児休業等終了時改定

このタイミング以外には、標準報酬月額を変更することができません。

このページでは上記4つの標準報酬月額の設定のうち、随時改定について説明します。
固定給の変動をきっかけに行う標準報酬月額の変更であり、月額変更届を提出することにより行います。

随時改定は月額変更届を提出することによって行いますので、月額変更ともいわれます。

スポンサーリンク







どのような場合に随時改定をすることができるのか?

随時改定はいつでもすることができるわけではありません。
条件を満たした場合に限り、行うことができます。
随時改定の条件は以下の通りです。

  1. 昇給又は降給等により固定的賃金に変動があった。
  2. 変動月からの3か月間に支給された報酬(残業手当等の非固定的賃金を含む)の平均月額に該当する標準報酬月額とこれまでの標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた。
  3. 3か月とも支払基礎日数が17日(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日)以上である。

これらについて、1つずつ説明していきます。

昇給又は降給等により固定的賃金に変動があった

随時改定には、固定的賃金の変動が必須です。
残業が増えて給料が増えたり、欠勤が多くて給料が減ったというだけでは、随時改定にはなりません。
随時改定で最も重要なことは、固定的賃金が変動している事です。

固定的賃金の変動について、日本年金機構のホームページでは次のように説明しています。

  1. 昇給(ベースアップ)、降給(ベースダウン)
  2. 給与体系の変更(日給から月給への変更等)
  3. 日給や時間給の基礎単価(日当、単価)の変更
  4. 請負給、歩合給等の単価、歩合率の変更
  5. 住宅手当、役付手当等の固定的な手当の追加、支給額の変更

変動月からの3か月間に支給された報酬(残業手当等の非固定的賃金を含む)の平均月額に該当する標準報酬月額とこれまでの標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた

固定的賃金が変動したからといって、すぐに随時改定をすることができるわけではありません。
変動月から3か月間に支給された給料の平均額を標準報酬月額表に当てはめた時に、2等級以上の差が生じることも条件になります。

3か月とも支払基礎日数が17日(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日)以上である

月額変更を提出するには、固定給変動後3か月間のすべての月において、支払基礎日数が17日以上である必要があります。

支払基礎日数とは

支払基礎日数は時給者・日給者においては、出勤日数に近いものですが、月給者については、出勤日数とは異なります。
支払基礎日数について、月給者と時給者・日給者に分けて説明をしていきます。

月給者の考え方

出勤日数は給与計算期間における、暦の日数になります。
例)給与締日が15日の場合の、6/16-7/15
出勤日数は30日

時給者・日給者の考え方

出勤日数は実際に出勤した日数です。
もしも有給休暇を取得した日があれば、その日も出勤日数に含みます。
1日の労働時間が短い日があったとしても、1日として数えます。

これまで説明した3つの条件を全て満たした場合に、随時改定を行うことができます。

随時改定は、会社や労働者の希望により、行うかどうかを選ぶことはできません。
随時改定の条件に当てはまった場合には、月額変更届を提出しなければなりません。

随時改定の対象にならない場合とは?

固定給が変動し、標準報酬月額が2等級以上変動する場合に随時改定の対象になると説明しましたが、次の場合には随時改定の対象になりませんので、注意してください。

  • 固定給が増加したのに、2等級以上下がる場合
  • 固定給が減少したのに、2等級以上上がる場合

この2つの場合には、上で確認した条件を満たしたとしても、月額変更の対象にはなりません。
固定給が増加した場合には標準報酬月額の等級が上がる随時改定(上がり月変)にしかならず、固定給が減少した場合には標準報酬月額の等級が下がる随時改定(下がり月変)にしかならなりません。

給与計算に給与計算ソフトを使用している場合の注意
使用する給与計算ソフトによっては、2等級以上の差がある場合に月額変更の通知が表示される機能がついているものがあります。
固定給の変動と2等級以上の変動により、機械的に表示されるものもありますので、注意が必要です。

以上の条件を確認し、随時改定の条件に当てはまるのであれば、月額変更届を提出します。

月額変更届の提出期限と提出先

随時改定をおこなう際には、月額変更届を提出します。
この月額変更届の提出は、具体的に何日以内に提出しなければならないという決まりはありませんが、速やかに提出することとされています。月額変更届の提出が遅れると、社会保険料の口座振替に間に合わなくなることがありますので、給与計算が終わったらすぐに手続きを済ませるようにしましょう。

月額変更届の提出先は年金事務所(日本年金機構事務センター)です。

月額変更届の添付書類

月額変更届には添付書類はありません。
以前であれば、随時改定により5等級以上下がる場合には出勤簿や賃金台帳を添付したり、役員報酬変更の議事録の提出が求められましたが、現在は添付書類は必要なくなりました。

月額変更届の記入方法


引用元: 日本年金機構HP

月額変更届提出後の流れ

月額変更届を提出すると、日本年金機構から決定通知書が届きます。これにより随時改定の手続きが完了したことがわかります。

随時改定が行われると標準報酬月額が変わりますので、給与から控除する社会保険料も変更しなければなりません。
社会保険料は翌月控除ですから、7月月変の場合には8月分給与から社会保険料を変更することになります。
給与計算時には、社会保険料の控除額を忘れずに変更しましょう。

月額変更届の提出が漏れてしまうと、社会保険料が正確でなくなるだけでなく、傷病手当金や出産手当金の支給額に影響しますし、厚生年金保険料に影響しますので、将来の年金額にも影響を及ぼします。
月額変更届に限ることではありませんが、正確な手続きをとることが大切です。