労働基準法では、1年に付与する有給休暇のうち5日分について、時間単位の有給休暇に設定できるとされています。
ほとんどの会社で半日単位の有給休暇を導入していると思いますが、さらに短くすることで、ちょっとした用事でも使うことができ、また他の社員に気兼ねなくとれるということで、時間単位の有給休暇の導入例も増えています。現在、有給休暇の消化促進は厚生労働省でも力を入れています。

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時間単位の有給休暇導入のメリットとデメリット

時間単位の有給休暇を導入する場合のメリット、デメリットを比較してみましょう。

    1. メリット

    2. 他の社員に気兼ねなくとれる
    3. 家庭の事情に対応できるので働きやすくなる
    4. 社員にやさしい会社とアピールできる
    5. →良い人材の確保、定着率の向上

    1. デメリット
      →有給休暇の管理が煩雑になる
  • デメリットに上げられている管理については、1単位の時間を工夫するといいでしょう。
    例えば、所定労働時間が8時間であれば、2時間単位にすると1回取得したら0.25日になり、計算しやすくなります。

    導入に必要な要件はたったの2つ

    時間単位の有給休暇を導入するための要件は、1.就業規則の変更2.労使協定の締結、の2つです。

    1.就業規則の変更

    休暇に関する事項は就業規則に必ず記載しなければなりませんので、導入にあたって現在の就業規則に追加する必要があります。
    変更したら、労働基準監督署へ届け出ます。

    (1)取得できる従業員

    取得目的によって対象者を決めてはいけません。
    たとえば、「3歳以下の子がいる者」と定めることはできません。

    (2)1日の年次有給休暇に相当する時間数

    1日分の有給休暇が、何時間分の時間単位の有給休暇に相当するかを定めます。

    所定労働時間の異なる従業員がいる場合は、それぞれについて記載します。
    所定労働時間が6時間なら1日分も6時間、8時間なら8時間とします。
    7時間30分の場合はどうなるかと言うと、30分繰り上げて8時間とします。

    (3)1単位の時間

    1時間から設定できますが、分刻みの設定はできません。

    (4)賃金の支払い方

    通常の有給休暇でもらう金額をその日の所定労働時間で割り、休んだ時間分だけ支払うことになります。

    2.労使協定の締結

    従業員代表と会社との間で、労使協定を締結します。
    この労使協定は、労働基準監督署へ届け出る必要はありません。

    締結する内容は就業規則とあまり変わりません。

    (1)時間単位年休の対象労働者の範囲
    (2)時間単位年休の日数
    1年につき5日以内です。
    (3)時間単位年休1日の時間数
    (4)1時間以外の時間を単位とする場合はその時間数
    (5)取得の方法
    誰にどうやって届け出ればよいかを定めます。

    導入にあたっての注意点は?

    時間単位の有給休暇も、有給休暇に変わりはないので、時季変更権を行使することは可能です。

    ただし、1単位が短い時間ですから、時季変更権を行使しなければならないほどの事情が認められるケースはほとんどないと思われます。
    また、時間単位を1日に変えたり、1日を時間単位に変えることはできません。

    さらに、計画的付与の対象になりませんので、計画的付与として時間単位有休を付与することはできません。