御社では、有給休暇の取得を促進されていますか?

従業員の労働時間削減のため、政府も有給休暇の取得促進に力を入れています。平成26年から、10月を「年次有給休暇取得促進期間」に指定し、広報活動を行っています。
また、早ければ平成28年春にも、有給休暇の取得を義務づける改正を行うことが検討されています。

《追記》
平成31年4月以降に発生する年次有給休暇については、年10日以上発生する従業員に対して、年5日事業主が時期を指定して取得させることが義務になりました。

そう言われても、「業務の繁忙や人手不足のため、公休を与えるのが精一杯。有給休暇をとられては困る」という悩みをお持ちかもしれません。
そこで出てくるのが「有給休暇の買取」です。

ここでは有給休暇の買取が認められるケースについて、説明します。

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有給休暇の買取はできるのか

有給休暇をとらずに働くから、その分お金が欲しいという従業員さんの希望と、お金は出すから休まず働いて欲しいという会社の希望が合致するのであれば、買い取っても良さそうな気がします。

ですが、有給休暇の買取は原則禁止です。
なぜなら、有給休暇の趣旨は「身体と精神を休ませることによって労働者の健康を守る」ことにあるからです。
有給休暇を取得することを制限することは認められないのです。

それではどのような場合に有給休暇の買取が認められるのか、確認します。

具体的には、次の3つのケースに限られます。

  1. 法律で認められた日数より多く有給休暇を与えている場合に、その超えた部分のみを買い取ること
  2. 2年の時効にかかり消滅してしまった有給休暇を買い取ること
  3. 退職時に残っている有給休暇を買い取ること

法律で認められた日数より多く有給休暇を与えている場合に、その超えた部分のみを買い取ること

労働基準法では、有給休暇は、入社後6か月で10日分付与されます。
しかし福利厚生を充実させるために10日ではなく、15日付与する会社もあります。
この会社の場合であれば、5日分は労働基準法を上回る有給休暇となりますので、買取を行うことも可能です。

2年の時効にかかり消滅してしまった有給休暇を買い取ること

有給休暇は発生してから2年間のうちに取得しなければ、消滅してしまいます。
上で説明をしたように、有給休暇が取得できる期間中に買取をすると、取得できなくなってしまいますが、既に消滅をしてしまったものであれば、有給休暇の取得を妨げません。
したがって、有給休暇の買取も可能です。

退職時に残っている有給休暇を買い取ること

これも上記と同様に有給休暇の取得ができなくなった後に買取るのであれば、有給休暇の取得を妨げませんので、買取が可能です。

会社には買取義務はありません。
3つのケースに限り、買い取ることができるだけであり、買い取るかどうかは会社の判断によることになります。従業員から買取の請求があったとしても、拒否することが可能です。

繰り返しになりますが、有給休暇の取得は労働者の権利ですから、認めなければなりません。
有給休暇を買取るので取得させない、ということはできません。
もしも有給休暇の買取を活用しようとお考えであれば、この点を踏まえたうえでルール作りをしましょう。

まとめ
有給休暇の買取はいつでも認められるわけではありません。
有給休暇を使用せず、消滅してしまったものについてのみ買取を行うことができます。
有給休暇の買取は会社の義務ではありませんので、会社の事情や従業員の要望を考慮した上で制度を導入するか決めましょう。

《参考ページ》年次有給休暇の時季指定義務(厚生労働省)